Vol.17
Share

ツインポケット、地味にものすごく便利です。

映画監督阿部 はりか

中高生の頃から演劇作品をつくるおもしろさに目覚め、そのまま美術大学に進学した阿部はりかさん。演劇作品だけでなく、2018年には映画監督としてデビューしました。初監督作品の長編映画『暁闇』は、国内の映画祭で準グランプリを受賞し、海外の映画祭への出品も決まっています。

 

そんな阿部さんの必需品は、映像編集ができるノートパソコン。ある程度のスペックがないといけないため、どうしても大きなPCを持ち歩かざるを得ません。その大きめなPCが入るリュックとして役立っているのが、ツインポケットのサッチェルバッグです。

ポケットが2つあると、小物をすっきり整理できる

映像編集などをするために、いつも大きめのノートPCを持ち歩いています。それが入るカバンとなると、やっぱりリュック。中高生の頃からずっとリュックを使っていて、社会人になってからもそれは変わりません。

 

でもとにかく荷物が重いので、以前、皮のリュックを買ったらストラップの付け根がすぐ壊れてしまったんです。その後、少しアウトドアっぽいリュックを買ったのですが、物がたくさん入るがゆえに重たくなりすぎて困っていました。

 

程よいリュックはないものか、と探していたときに見つけたのが、ザッチェルズのサッチェルバッグ。大きめの16インチだと、私のノートPCもちょうど入るんです。形がかっちりしているから何でも入れるわけにはいかなくなって、荷物の総重量としては軽くなりました。皮製だから、リュックなのにフォーマルな場にも持っていきやすいんですよね。いつでもこれを持ち歩いています。

サッチェルバッグは外ポケットが1つのバージョンと2つのバージョンがあるんですけど、私はツインポケットを選びました。

大きなポケットが一つだけだと、鍵や財布、定期などなんでも入れるから、中がごちゃごちゃしてしまいがち。2つだと小物を整理できて、出したいものを取り出しやすいんです。

演出で、会ってみたい人を現実に出現させる

中学、高校と演劇部で、舞台をつくるおもしろさに目覚めました。当時は、人としゃべるのがそんなに得意ではなくて、本の登場人物と頭の中で会話するのが好きだったんです。現実の人と話すことと、頭の中の人と話すことの割合が一対一になっていたくらい。演劇というのは、物語の中の人物を現実に出現させる試みとも言えます。だから、しっくりきたんだと思います。

演出をつけるのも、「こんな子がいたらいいな」「こういう人に会ってみたい」という人物を、目の前に出現させるような感覚がありました。それがすごく楽しくて、のめり込んでいったんです。

 

舞台作品をつくるときは、毎回同じ演じ方で完璧を目指さなくてもいい、と思っています。それよりも、演じる中で本当に感情が動く瞬間が生まれてほしい。役と役者がリンクして、その役が生きている瞬間が見たいんです。

 

2018年には、初めて映画を撮りました。2017年に友人が監督をする映画の美術チーフを担当し、現場での友人の姿を見ていて「私も映画を撮りたい」と思ったんです。

 

撮ったのは『暁闇』というタイトルの長編映画で、15歳の少年と少女2人が三者三様の孤独を抱え、音楽を通じて出会う物語です。映画と演劇は違うところもありましたが、役と役者がリンクして生きている瞬間が撮りたい、という部分は一緒だと感じました。そういう瞬間は、「あ、いま撮れたな」と明確にわかるんです。

 

心のなかにいる生まれたての赤ん坊が、創作の原点

映画は映像として残るのが、舞台と一番違うところです。私には言いたいことがあって映画を撮っているわけですが、その「言いたいこと」は思うことすら辛かったり苦しかったりするものでもある。でも、忘れるわけにはいかない。だって、忘れてしまったらなかったことになってしまうから。

 

忘れることもできず、ずっと自分の中にとどめていた「言いたいこと」を映画にする。そうしたら、私が忘れてもこの世に残すことができるんですよね。映画を撮ることで、少し心が解放されました。

 

映画を撮っている最中、大事なシーンで役者さんに演出をつけている時にすごく泣いてしまったんです。そこが、結果的に一番大事なカットになりました。悲しいとか悔しいとか、そういう単純な感情で泣いてしまうわけではないんですよね。これは多分、赤ちゃんが生まれた時に泣いているのと同じなんじゃないか、と思います。世界というものに圧倒されて泣いてしまう。

 

その演出では、主人公の一人である男の子に、親からの無条件の愛情みたいなものがちゃんと機能していてほしい、という思いについて説明していました。この無条件の愛情はずっとあるわけではない。親の元を離れたら、自分でなんとかしないといけないものです。でも、とにかくその無条件の愛情がほしい、ずっとあってほしい、とわがままに主張できてしまうのが赤ちゃんなんです。そういう赤ちゃんみたいな気持ちを、私はずっと持ち続けている気がします。そして、それが創作の源泉になっているのだと思います。

 

映画監督

阿部 はりかさん

1995年、東京都生まれ。東京芸術大学美術学部先端芸術表現科卒業。中学で演劇部に入ったことをきっかけに演劇の世界に興味を持ち、これまで4作の演劇作品の脚本・演出を手掛ける。『なっちゃんはまだ新宿』(2017年・首藤凜監督)に美術として参加するほか、美術や役者として多数の映像の現場に参加。2018年、初の監督作品『暁闇』を発表。MOOSIC LAB 2018で長編部門準グランプリを受賞し、韓国の全州国際映画祭に正式出品された。