斜めがけして、身軽に動ける。使いやすいサイズ感。
イラストレーター水元 さきの
2019年にイラストレーターとして独立した水元さきのさん。女の子をモチーフにした、やわらかなタッチの絵が、SNSを中心に人気を博しています。水元さんのイラストの多くは、青を基調としています。青が好きで、着る服も紺色のものが多いのだとか。
そんな水元さんが選んだのは、いつもの服に合うダークブラウンのシュガーキューブ(プラスサイズ)でした。決め手は、身軽に動ける小さめのサイズ感。斜めがけできるところも、「両手をあけておきたい」という水元さんの希望に合っていたようです。
少し小さめだけど、必要なものはすべて入る
使っているのは、シュガーキューブのプラスサイズです。これ一つを持ち歩くには、少し小さく見えるかもしれません。あえて小さいカバンを持つことで、たくさん荷物を持ち歩かないようにしてるんです。中に入れているのは、お財布、コインケース、リップを入れているポーチ、ボールペン、ハンカチ、香水、イヤホン、バッテリー。今日は化粧直しのメイクアイテムも入れてます。あれ、出して見ると数はけっこう多いですね。たくさん持ち歩きたくないというより、大きな重い荷物を持ち歩きたくない、という方が近いかも。とっさの時に走ったりできるよう、身軽でいたいんです。とにかく両手が空いている状態でいたい。だから、斜めがけできるというのもポイントでした。
絵を描くためにタブレットを持ち歩くと大きなカバンが必要なのですが、私、外では主に紙とペンで描くので、このサイズでいいんです。ファミレスのナプキンや小さいメモ帳にささっと描くことが多いですね。TwitterやInstagramにあげている趣味の絵は、紙に描いています。そのほうが勢いがつくというか、のびのび描けるので。案出しをするときも紙がいいですね。「戻る」機能がないので、まとまってなくてもなんでも、とにかく頭の中にあるものを出して、重ねていく感じで使えるんです。
ずっと、青い絵を描き続けている。少ない線で空気感を伝えたい
色をダークブラウンにしたのは、普段よく着る服と合わせるためです。紺色の服と茶色い靴、という組み合わせが多くて。今日着ている服はわりとスタメンです。それに合う色がいいな、と思って選びました。
青色が好きで、絵も青を基調にしています。これは、絵を描き始めた中学生の頃から。控えめな色使いが好きで、青が一番自分らしいと思っています。
青に惹かれた原体験は、三姉妹の末っ子で赤やピンクのものばかり与えられてきたことだろうな、と思っているんです。無条件に与えられるそれらの色が嫌で、逆の色を好きになったのかな、と。今は、組み合わせることで青が映えたりするので、赤やピンクもいいと思います。
あとは、海が好きなのも青が好きな理由のひとつです。それに関連して海の中にいるクラゲが好きで、大学は海洋系の学部にあるクラゲの研究室に入りました。クラゲはなんといっても、曲線の美しさがいい。触手が水の中を漂う様には、思わず見とれてしまいますよね。シルエット、フォルム、柔らかいライン、すべてが好きです。
イラストで女の子の絵を多く描くのも、この嗜好からきているんだと思います。ふわっとしていて、やわらかい。絵を描きはじめたときから、少ない線で描くということを意識しています。描き込まなくても、どういうシーンなのか頭に浮かんできて、空気感が伝わるような絵を描きたいんです。
誰も気に留めないちょっとしたこと。それを絵で残していく
中学生の頃から絵を描くのは好きだったけれど、美大やイラストの専門学校には行かず、普通に就職しました。でも絵を描きたい気持ちがなくならなかったので、2年で退職。イラストレーターとして独立しました。
会社員だった時は、絵を描く時間がなかなかとれませんでした。忙しさに紛れ、何も描かなくなってしまいそうなのがこわくて、絵日記を描き始めたんです。そのなかで、生活のなんでもないことを描き記すことの意味に気づきました。掃除をしたとか、洗濯物を干したとか、本当になんでもないこと。誰にも知られず、消えてしまうようなこと。でも、たしかにそこで行われていた行為、流れていた時間。これが、自分の一番大事にしたいことなんだ、と気づきました。今も、Twitterに日常の何気ない一コマを描いた絵をのせています。
今後は、自分の好きなことをもっと主体的に発信していきたいですね。誰かが求めてそうだからとか、依頼されたからとかではなく、本当に自分が描きたいことを描く。その一つが、やっぱりクラゲのことです。クラゲのこんなところがいい、というのを絵と文字で伝える本をつくりたいと考えています。大学で学んだ、ちょっとマニアックな知識なども織り交ぜて、イラストでわかりやすく解説できたらいいなと。今、構想を練っているところです。
イラストレーター
水元 さきのさん
1995年、東京都生まれ。中学生の頃から絵を描き始め、高校時代からInstagramにイラストを投稿し始める。クラゲ好きが高じて、大学は海洋系の学部に進み、クラゲの研究室に所属。一旦就職するも、絵を描きたい気持ちを持ち続け、2019年5月にイラストレーターとして独立。同時に、高校生の時からのペンネーム「ラムネチョコ」を、「水元さきの」に改名。青を基調としたイラストで、書籍やCDジャケット、広告など幅広いジャンルで活動中。